大井川知事による
8年間の茨城県政の問題点
いま、大井川和彦知事の下で起きている出来事が全国注視の的になっています。「週刊文春」による「大井川知事になって職員13人の自死事件」という3回連載報道、月刊誌『地平』において小林美希ジャーナリストが6回連載の「ルポ・イバラキ」で大井川知事の信じがたい施策を暴いているのがきっかけです。
事の重大さを6回連載のタイトルが示唆しています。 第1回 民主主義が消えていく、第2回 地元政財界の強固なつながり、第3回 メディアのチェック機能はどこへ?、第4回 生徒の生命を脅かす“教育改革”、第5回 生徒を苦しめる超競争教育、第6回 イバラキが変われば日本が変わる、と。
冒頭の「民主主義 が消えていく」では、2020年9月県議会で江尻加那県議が「大井川知事就任から2年、県庁職員の長期病休者のうち、精神性疾患(メンタル疾患)が初めて100人を超えていることは大変気がかりな事態です」との指摘を紹介しています。また、同県議が、同議会で、「県職員幹部が大井川知事から『ばか、死ね、出ていけ』などの暴言を受けたという内部告発があった」と追及したことを紹介。さらに、第4回「生徒の生命を脅かす“教育改革”」では、副知事付きの秘書が2024年10月20日に自殺した問題を取り上げて、この件で県が2025年2月に急遽記者会見を行い、飯塚博之副知事に厳重注意処分、秘書課長も厳重注意、第三者委員会を設置していたことも公表した、と言及しています。
『パワハラ、忖度、非公開』が茨城県政に蔓延して職員を追い詰めていないか、大井川知事の責任が問われています。
2 大井川県政の問題点
自民党県連に2500万円の寄付
―「裏金」自民党と共通する政治資金問題
大井川知事の政治資金は、2021年度パーティ券収入が75%、22年は99%を占め、利益率が9割です。大井川知事の政治資金は、裏金自民党とほとんど同じ問題を抱えているうえに、2022年度は、大井川知事の資金団体から自民党県連に2500万円の寄付を行い、自民党とのつながりを強化しています。
2025年5月の知事選立候補記者会見では、大井川知事は自民党に推薦依頼を行ったことを明らかにしました。大井川知事は、自民党の裏金問題と同じ手法で政治資金を集め、金銭力を活用して自民党にすり寄っていると言えます。裏金で多数派を懐柔し、おもうがまま県政を牛耳っていると言わざるをえません。
大井川県政の舵取りは儲かるか否か、
大型開発・企業誘致が焦点、県民のくらしに冷たい県政
8年間の大井川県政は、ひたちなか港建設や霞ヶ浦導水事業の継続、百里空港拡張など大型事業に手厚く、加えて大規模工業団地の造成、企業誘致で儲ける施策に執着し、県民のくらしや福祉支援にきわめて冷たいものです。
茨城県は、2018年度から毎年企業誘致に50億円の予算を執行してきました。2025年度の新予算では、半導体などの企業の誘致のために上限100億円の予算を組みました。大井川知事は、企業誘致数が日本一だという宣伝をしていますが、安価な土地代、法人税減額など出血サービスによるもので、企業誘致により社員がどれだけ雇用されたのかは明らかになっていません。地元からの社員雇用が増えなければ、多額の税金を使った企業誘致は、県民のためではなく、企業のためだけのものになります。
日立産廃処分場の整備事業費は、候補地選定した時点の208億円から基本設計の段階では230億、新規搬入道路を含めると389億円に増額され、今後も資材高騰や工期延長などで増額される危険性は高くなります。日立産廃処分場は、洪水・土砂崩落の危険が高く「多額の県費投入やめよ」と地域住民が建設に反対し、裁判闘争が続いています。なぜ、県が処分場をつくるのか。県は「茨城県産業資源循環協会から要望があったから」と説明していますが、要望書を出した産業資源循環協会の会長が日立セメントの元専務であり、日立セメントは株木建設のグループ会社で、株木建設は大井川知事に政治資金を拠出しています。選ぶ側と選ばれる側が同じというのは明らかな利益誘導です。
大井川知事は、茨城空港に新たな誘導路を確保する等の検討を進めています。現在でも、茨城空港の運営に県から毎年10億円が支出され、今後多額の県税が空港(百里基地)整備に使われようとしています。百里基地という軍事基地の整備を県税を使って行われることは許されないことです。
県民所得・最低賃金・中小企業支援問題
茨城県の県民所得が全国3位(2021年度344万円)と公表された(2024/10/7内閣府)。しかし、県民の多くは実感がないでしょう。県民所得は、主に企業利潤などの企業所得と、賃金・給与などの雇用者報酬とから算定します。茨城県の企業所得は10年間で1.2倍に増えた一方、雇用者報酬は1.08倍しか伸びておらず、物価高で実質賃金は目減りしています。また、県内の市町村間の所得格差は1.95倍に広がっています。また、会社の儲けに対する人件費の割合を示す労働分配率も、全国平均72.4%に対し茨城県は64.5%と大きく下回っています。
茨城県の最低賃金は、全国14番目の1005円。東京都1163円、埼玉県1078円、千葉県1076円で近隣都県と格差があり、人材の県外流出につながっています。同時に人材確保も進みません。
茨城県内では、従業員の多い大企業ほど最低賃金に近い低賃金で働く非正規労働者の割合が高く、男女の賃金格差も全国ワースト2位です。
県は、2025年度予算で中小企業者に対し、時給を1010円以下から35円以上引き上げる支援金を初めて盛り込みましたが、県内中小企業約7万7000社に対し、支援金の見込みは2000社です。すべての中小企業を支援し賃金引上げを押し上げることが必要です。
さらに、県内企業に就職した若者の奨学金返済援助や、中小企業の価格転嫁・資金繰り支援、外国人労働者の生活と人権を守る取組を実施することが求められています。
大井川県政における低賃金労働者や中小企業への支援が緒についてところもあるが、実質賃金の減少をカバーするには至らず、抜本的に改善することが必要です。
大井川県政における県民の福祉、医療、教育の冷遇
しかし、こうした無駄遣いを続ける一方で、「給食の無償化」や「高齢者の補聴器補助」は市町村での実施に任せ、県は補助金を拠出していません。県が資金の一部を拠出すれば、給食の無償化等はすべての市町村で可能になります。また、学費負担軽減こそ県民の願いであるものの、昨年県は県立医療大等6校の県立学校の授業料の値上げを決定しました。6校の県立学校は5億円で無償化できます。
県は2024年度の補正予算で、特別支援学校や定時制高校等の県立学校の給食費の補助を始めましたたが、1食あたり20円・総予算600万円で、2025年度予算はゼロです。県のヤングケアラー支援事業予算は、2023年度以降減額されて支援になっていません。これに対応して、市町村の相談窓口設置・進路相談専門員配置等も進んでいません。
救急車の緊急搬送における選定療養費を徴収する問題は、中小病院の設備が不十分で医師・看護師が少ないために、中小病院で救急車の受入ができないことが原因です。選定療養費を徴収する前に、中小病院の施設拡充と医師・看護師の配置増を実現し、救急医療を受け入れられる中小の病院を増やすべきです。
大井川知事の教育介入が深刻
2019年に大井川知事の教育介入の結果、県立高校に10校の中高一貫校、附属中学校の設置が決定し、2020年から設置が始まった。附属中学の受験が加熱する中で、小学校3年生から塾通いが始まっています。
また、附属中学は数値目標を立てて東大や医学部等難関大学合格を重視し、偏差値至上主義に陥っています。そうした中で、不登校や自殺未遂、退学が生まれています。大井川知事は、エリート育成という言葉を使っているが、教育がゆがめられています。また、民間人校長が、導入されましたが、刑事事件を引き起こした校長や教職員との協力関係がとれないという校長もいます。校長の中には、自分は教育委員会ではなく、県知事に任命されたと公言する者もいます。
「もうかる農業」でなく、農業支援と次世代育成を
米価の異常な高騰が続いています。これまでの減反政策・食料米輸入などの農政を見直さなければ、備蓄米もなくなり、米価の異常な高騰も米不足も改善されません。
一方、県内の農家は高齢化が深刻で、農作物の生産が難しくなっており、農産物の不足による物価の高騰が続いています。しかし、大井川和知事は「儲かる農業」をと声高に言い、農業の大規模化と農産物の輸出を推進しているだけです。すべての農家を対象にして農業収入を増やし、若い農業従事者を含め担い手を増やすために支援金を増額させる必要がありますが、そうなっていません。
茨城県として「食料自給率向上宣言」をし、米の増産など農産物生産拡大のために、農業予算を増やし県独自の価格保障、所得補償を行うとともに、資材高騰に備えた支援を強化する必要があります。
環境・気候危機への対策
茨城県はCO₂排出量が全国10位と多いです。その排出量の内6割以上が鉄鋼や石油化学、石炭火発などの産業分野・エネルギー分野です。大井川知事は、削減目標を掲げる一方で、47都道府県で唯一「ゼロカーボンシテイ宣言」をしていません。CO₂排出量の削減目標を達成するのか否か本気度が疑われます。また、廃棄物の投棄、野焼き、県道の除草の不徹底、騒音など県民からの公害苦情相談件数は全国最多に上っており対策の遅れが際立っています。大井川県政の儲からない分野への手抜きを象徴しています。
災害対策・被災者支援
気候変動の影響を受けて台風や線状降水帯による大規模な豪雨が頻発し、県内でも河川の氾濫、水害が多発してきています。県管理の中小河川も浸水防止対策が急務で、河川改修予算の大幅増が必要です。
近年は、河川氾濫とともに、大雨に対して排水が追い付かず、下水道や用水路から水があふれでる「内水氾濫」による建物、道路の冠水被害が増えています。排水ポンプの設置拡大や防災調整池の整備といった対策が必要です。
他方、被災者の生活再建への支援対策も急がれています。国の支援があまりにも不十分で、県独自に半壊世帯への補助(25万円)国の支援法が適用されなかった市町村への補助制度を設けていますが、支援補助の金額や対象範囲の拡大が必要です。
東海第二原発の廃炉を
東海第二原発は、内部告発から安全対策工事の施工不良が明らかになり、安全対策工事終了が2026年12月に延期されました。避難計画は、いくつかの市町村で作られたものの、地震などの複合災害を前提にした避難計画を策定できていません。
2021年3月の水戸地裁東海第二原発差し止め判決を踏まえ、地震多発県である茨城県において、老朽化した東海第二原発は廃炉にすべきです。
延期を繰り返す安全対策工事や度重なる火災事故は、看過できない重大な問題です。県民の安全を守るため、東海第二原発の再稼働には同意せず、東海第二原発は廃炉にすべきです。大井川知事が廃炉を求める意思表示をしないのが一番の問題です。
ジェンダー問題
茨城県のジェンダーギャップを政治・行政・経済の分野で格差の大きい指数(全国順位)を挙げてみます。政治分野では、県議会議員の男女比は全国35位、市町村長の男女比25位、行政分野では県庁の管理職の男女比33位、市町村の管理職の男女比42位、県庁の大卒程度採用の男女比35位、経済分野では就業率の男女差30位、フルタイム労働者の割合の男女比45位、フルタイム労働者の男女間の賃金格差44位、企業や法人の役員・管理職の男女比27位、という実情です。
格差をなくし女性の政治や社会経済における地位向上を目指す具体策が県政にはみられません。抜本的な打開策が強く求められます。